2025年3月14日(金)
社会的養護と学校教育
2022年度、全国の児童相談所が対応した児童虐待件数はこれまででもっとも多い数値となりました。1990年に統計を取り始めて以来、この数は毎年増加しています。その内の約3%ほどの子どもが、児童養護施設や里親といった社会的養護のもとで生活することになります。
みなさんは、「社会的養護」という言葉をご存じでしょうか。
社会的養護を担う施設のひとつである童養護施設は、現在、「小規模化と家庭的養護」が推進され、入所する子どもの生活環境は大きく改善しています。小規模化は、地域分散化と同じですので、みなさんのお近くにもグループホームと呼ばれる「小さな施設」ができるかもしれません。
ただ、入所児童のおよそ6割は虐待の体験があり、地域での生活、とくに学校教育において困難を抱えていることが少なくありません。これまでは被虐待児の早期発見と、保護されたあとの心理的ケアや生活支援の方法が議論されてきましたが、学校教育についてはこれからの課題です。
2021年4月から高等教育の修学支援新制度も開始されましたが、虐待という困難を抱えて自立していくためには、経済的支援だけでなく、教育的支援や配慮が欠かせません。さらに、学校はコミュニティにありますから、教育関係者だけでなく、地域の関係者や住民の方々が子どもたちをどう支援してくださるかも重要です。虐待を受けた子ども支援のネットワークが広がることを期待して、2021年度からこの講義を設定しました。
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備考
※本講座の前半は、昨年の開講した内容と重なる部分があります。社会的養護について初めて受講する方にも共有していただくためです。第2回は、昨年十分お話しできなかったので、あらためて私たちの研究をもとにご紹介したいと考えます。