2025年3月3日(月)〜2025年3月10日(月)
1964年東京オリンピックと住宅団地開発
1964年の東京オリンピックが、戦争に負けた日本が経済では勝利したことを国際社会に宣伝する役割を果たしたことはよく知られています。この講座では、そのようにいわば“伝説”として語られる東京オリンピックの実相を跡づけていきます。具体的には、米ソ冷戦下、高度成長下、オリンピックを起爆剤とした社会変容のありようを、首都圏整備政策、エネルギー政策、住宅政策、教育問題、米軍基地問題、大衆消費文化の視点から多角的に考えます。
とりわけ、高度成長下、東京・神奈川への人口集中が進み、多摩地域とくに旧南多摩郡に属する町田、多摩、稲城、日野、八王子などで大規模な住宅団地の開発が始まります。しかし、その開発は単線的なものではなく、住宅問題(住宅不足、劣悪家屋)の解消は、基地問題(生活環境の破壊、平和主義との矛盾)・環境問題(自然破壊、農業衰退)と連動し、さらに人口政策(人口の質と量の管理)と教育問題(核家族化と「教育ママ」、校内暴力、少年非行)、ひいては大衆消費財化する文化の問題(効率的な音楽消費)等など、様々な社会問題が交差する複雑な歴史過程を辿っていきます。たとえば、当時大ヒットした流行歌の構造は、団地の生活様式にマッチしたコンパクトで起承転結のはっきりしたものでした。
各種の映像資料を観ながら、また当時の音楽を聴きながら、時折ギターによる演奏を交えながら、私たちのルーツを一緒に探ってみませんか。
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備考
※この講座は、これまで実施された上田誠二の講座と重複する内容がありますが、新しい視点・資料をとりいれ再構成されています。