種と「いきざま」の多様性を知る
21世紀において、生物多様性の急激な喪失への対応は、人類が存続し続ける上で最も重要な課題の一つとなっています。なぜなら我々の生活は、生物に由来する資源(バイオリソース)、生物の持つ構造や機能をヒントとした技術(バイオミメティクス)、生物と環境が形作る生態系に由来する様々な恩恵(生態系サービス)によって支えられているからです。生物多様性を適切に保全し、人為的な撹乱に便乗した外来生物を制御・駆逐するためには、どのような種がどのように分布しているか (種多様性について、早急に解明する必要があります。
生物に関する膨大かつ多様な情報を整理・蓄積・検索する上で、種は最も基本的な単位です。種を発見・記載・命名し、分類体系に組み上げていく「系統分類学」は古臭い学問とみなされがちですが、実は我々の直面する課題「生物多様性の保全」を推進する上で不可欠な情報インフラを形成する学問分野と言えます。
一方で、系統分類学は「種レベルの多様性を迅速に解明する」という社会的要請に応えるために、その方法論を進化させていく必要があります。我々研究グループは様々な無脊椎動物を扱いながら、新しい時代の系統分類学のあるべき姿を模索しています。今回の講義では、我々の研究の一端を紹介したいと思います。
●分類学概論 〜種を発見・記載・命名する〜
分類学が対象とする種とはどういう存在か、またどのようにして自然界から種を発見し、記載・命名するのかについて、解説します。
●新種リュウジンオオムカデの発見・記載・命名
新種の発見・記載・命名に至る経緯、その保全上の意義について、解説します。
●洞窟に生息する動物たちの「いきざま」と琉球列島における新種発見
洞窟という極限環境への適応進化、琉球列島から発見されたホラヒメグモ類の新種について、解説します。
※1回の講義を通して本テーマを解説する講座です。
※講師が過去に実施した講座「種の多様性と進化を学ぶ 〜「虫」を例に」とほぼ同じ内容です。
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備考
https://www.tmu.ac.jp/news/topics/30877.html
https://www.tmu.ac.jp/news/topics/34929.html
https://www.tmu.ac.jp/news/topics/35939.html